これは、おそらくあんまり売れなかったカメラです。
なんでかって言うと、普及機で機能が低いから。
でも私は安っぽいカメラが結構好きで、こういうカメラが出ると、ついつい手に入れたくなったりするのでした。

このカメラのもそんな中の1台。
キヤノンIXY210。

そもそもIXYというのはキヤノンのAPSカメラのシリーズ名です。
35mmのオートボーイと区別してスタイリッシュなイメージを持たせたかったんだろうと思います。
しかしデジタルになって、IXYと、PowerShotの住み分けがわかりにくくなった気はしますよね。

では次に、この機種名の210という数字ですが、これには意味があって、100の位がカメラの格を表してます。
200番台だと普及型。300番台だと通常シリーズ。
もし高級なものが出ていれば400番台、500番台もあったことでしょうし、もっと廉価なカメラ、例えば初期に出たIXY10のようにAFまで省いたパンフォーカスのカメラを新たに作ったなら、100番台も出てきたかもしれません。

そして10の位がズーム比を表しています。
210の「1」は、1倍ズーム。つまり単焦点レンズ。
2だと2倍ズーム、3だと3倍ズームです。
今時のコンデジのような高倍率ズーム付きだと、例えば24倍ズームなら、3240とかになったのかもしれません。

1の位は0しか使われていませんが、もしかすると、モデルチェンジで番号が上がっていく予定だったのかもしれません。
しかし間もなくして、キヤノンのAPSカメラは製造を終わることになりましたので、その先どうなっていたかは不明です。

では改めて見てみましょう。

APSはカートリッジ式ですので、概ねカメラ下側のカバーを開いてポンと入れるようになっています。
そのカバーのオープナーがこのレバー。
が、動きません。開きません。
このレバーが動かないということは、撮影中のフィルムが入っているということです。
これはAPSカメラ共通の仕様です。

もしかして、撮影中のフィルムが入ったまま放置されたんでしょうか。

ちょっと試しに電池を入れてみましょう。

あれ、
電池がない状態で放置されていたにもかかわらず、カウンターはリセットされていません。
18の表示でしたが、日付を合わせてシャッターをきると、撮影出来ましたよ。
ですので今は19。
加算式のカウンターですね。
APSは何枚撮りを入れているか分かりにくいので、減算式が多かったと思ったのですが、これは加算していくようです。
APSのフィルムは、15枚撮り、25枚撮り、40枚撮りがありましたが果たしてこれには何枚撮りが入ってるんでしょうか。

もしかしたら確認できる機能もあるのかもしれません。
と思っていろいろ触っていますと、

電源を切った状態で、フラッシュ選択ボタンを押すと、


表示されました。
ASA400の25枚撮りが入ってるようです。
ですので残り6枚。

せっかく電池も入れましたので、フィルムが無くなるまで撮ってみましょうか。

で、このカメラって、最短撮影距離はどのくらいなんでしょうね。
開放F値は？

焦点距離以外なんも書いてない。

このカメラは、普及型のカメラです。
積極的な単焦点レンズでなく、ズームレスと言った方が当てはまります。
ですのでレンズ性能など気にして使うユーザーもいなかったことでしょうね。

私が一番好きなIXYは、310という機種です。
10の位が1なので、単焦点ということがわかると思いますが、このカメラは210の消極的な単焦点と違い、積極的な単焦点です。
開放F値が2.8。同等性能のカメラでは、フジのティアラが有名ですが、310もとても良く写るカメラでした。
個人的にはティアラよりこちらの方が好きなんです。

しかし今となってはAPSフィルムは有りませんので、銘機であっても使うことができないのがとても残念です。

ところで先に撮ってある18枚には、一体何が写ってるんでしょうか。
全部撮り終わって現像するのが楽しみです。
多分変色しているでしょうけどね。