交換レンズのピント調整は、そのレンズによっていろいろとやり方が違うんですよね。
最近のオートフォーカスレンズであれば、カメラが勝手にピント合わせますから、基本的にピント調整というのも無いのですが、古いレンズでは正確に合わせておく必要が有ります。
その場合一番面倒なのがシム調整式のもの。
メーカであればそのレンズに合ったサイズのシムをいろいろと用意できるのでしょうが、我々が修理する場合はなかなかそうも行きません。
今回はキヤノン85mm,F1.9。
ライカLマウント互換レンズですので、連動距離計とレンズのピントが合ってないといけません。
ですがこのレンズはまあまあズレている様子。
オーナーさんが修理に出したところ、メーカー純正のシムが用意できないから、ピント調整不可ということで返ってきたらしい。
そんな難しい方法なのかな?
まあ、シムが無いなら代用品で対応するということもできますので、修理をお受けしました。
では取り掛かりましょう。
こういうレンズの場合は、鏡筒とレンズ部が簡単に分離できる構造になっていることが多いです。
特にシム調整のレンズならなおさら。
と言うことで、フォーカスリング部と、レンズ先端部を持って軽く回してみますと、
はい、
簡単に分離できました。
距離計と、レンズの距離表示は合っていますので、このレンズ部の取付だけの問題のはずです。
しかしですね、
シム調整とは聞いていたものの、
シムが無い。
普通、シム調整すつものであれば、なにかシムは入っているはずなんですけどね。
シムがないということは、縮める方向に調整代がないということですので、
それは妙な話。
まあ今回の場合は伸ばし方法に調整することになるので、シムの代用品を挟めばいいといえばいいのですが…
これまでで代用品としてよく使ったのは、針金です。
今回はちょうど1mmほどの繰り出しのようですので、線径1mmのステンレス線を使ってみましょうか。
長さが合うように切って、
取り付けネジ部の根本にセットしてみます。
その下のフランジ部でもいいかも。
で、この状態で取り付ければいいわけです。
組み直してピントを見てみると、うまい具合にちょうどピンとぴったりですね。
と言うことで、調整完了?
いや、
なんかやっぱ違和感あります。
どうもシム調整じゃないような気がします。
うーん、
それに、分離した鏡筒の内部をよく見るとですね、
こんなふうになってます。
これはどう見ても回すための加工でしょ?
じゃあもしかして、
と思って、
分離した鏡筒の先端部分を回してみましょうか。
ははは、
ほら、外れた、
あるじゃん、調整箇所が。
赤矢印の3箇所のイモネジを緩めれば、さっき上から見えていた青矢印の部分が回せて、ピント調整ができますよ。
うん、よく出来てる。
あとは、ヘリコイドグリスの交換と、レンズのクリーニングも。
と言うことで、ピント調整完了です。(#^.^#)