フジノンレンズは古くてもよく写ります。
と、昨日も書きましたが、今回はそのフジノンレンズを搭載した
35-MLのレストアの話の続きです。
距離計と、巻き上げ関係を直すとこまではうまく行った感じなのですが、この個体でもシャッターのスローに問題があるようです。
と言いますのも、今まで何台かの35-SEなどをレストアしてきましたが、どうも1/15秒以下が変なんです。
現状を言うと、スローが遅い。
ではまずはガバナーを外して洗ってみましょう。
すると遅いのは直ったのですが、今度は速すぎる。
と言いますか、1秒とか1/2秒はいいのですが、1/15秒が速すぎる。
どうしたもんでしょうね。
ではガバナーの動作をよくよく観察してみましょう。
先程の写真で言うと、
まず巻き上げると、赤矢印の部分が左回転してシャッターセットが行われます。
そしてシャッターを切ると、一気に右回転してシャッタ羽を開閉する仕組み。
この時に、赤矢印部分がガバナーの黄矢印部分にぶつかって、その抵抗の強さと移動距離によってシャッタースピードが決定されています。
その動きを見ていると、どうやら1/15秒とか1/8病とかの時にぶつかったときの移動距離がほとんどない様子。
これはもしかすると、このぶつかる部分のどちらか、または両方が、経年によって削れたり変形したりしたために移動距離が減っているんのかもしれませんね。
そうそう、思い出しました。
以前も35-SEで同じことがあったんでした。
もしかしてこのシリーズは、どれも同じような症状が出ているんじゃないでしょうか。
たしかその時は…
と思って以前の作業の写真を探してみますと。
あった。
そうでした。
その時も同じように考えて、ちょい曲げようとして折ってしまったんでした。
だからと言って諦めたわけでなく、
適当な大きさのワッシャを切って曲げて、ハンダ付けして対応したのでした。
最悪同じ方法で直せることがわかりましたので、少し安心して、
35-MLのガバナーの矢印部分を、小さいハンマーで軽く叩いて叩いて叩いて、
ちょっとずつちょっとずつ曲げてみましょう。
折らないように慎重に。
うーん、いいぐらいまで曲げられたようですので、組み込んで様子をみてみましょう。
お、いい感じ。
1/15秒が1/15秒らしい動きになりました。
それに伴って、1/8秒もいいですね。
よし、これでとりあえず使ってもらってみましょう。
きっとうまく撮影できるはず。